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2008.01.12(Sat)

骨格の確かな金子修介版ガメラ3部作 


 YAHOO動画のお正月企画のおかげで、金子修介監督のガメラ3部作をちゃんと見る機会を得ました。たしか3作ともテレビ放映されたのを見ているはずなのですが、いろいろと取り込んでおり落ち着いて鑑賞する環境にありませんでした。今回、雑音抜きで3作通して見てみたら、印象も感想もガラッと違いました。金子組の製作した「ガメラ」は、たんなる怪獣映画ではありませんね。とにかく骨格の確かさに、驚きました。

 碑文と勾玉(まがたま)に始まり、聖書(マルコから引いたレギオン)、日本書紀、易経と、かりにそれらが一部創作であったとしても、ストーリーのベースになる古代史の記述をきちんと全編に忍ばせ、ギャオス(=染色体1対)・草体・レギオン・ギャオスの変異体イリスに関する生物学的解析やアトランティスの存在についての類推、そしてその存在の謎にからむ高度な文明をもつ古代人によって作られたと考えられる数々のプロトタイプ・ガメラが眠る海底の墓など、物語りを形成するための肉付けがきちんとなされていて、圧巻とすら感じさせる。

 中山忍扮する鳥類学者の助手長峰真弓と、水野美紀扮する青少年科学館の穂波碧の存在は、映画全体がエンディングまで科学的視点を失わないという意味においても、重要な役割を担っていて、客観的基調低音を網の目のように張り巡らしています。 ストーリーも五島列島にはじまり、福岡、東京、札幌、仙台、奈良、京都と、舞台を変えながら、(物語りの)一貫性を失わず、それぞれのまちの持ち味を生かした設定で、息をつかせない展開を続ける。

 また、何度か自衛隊の攻撃にさらされ、撃ち落とされるように、常に破壊をともなうガメラの存在は、人間社会のモラルからすると、差し当たっては敵であり、正体がハッキリするまではけして理解者にはならない。 ここからは、監督および製作者サイドの「安易なヒューマニズム怪獣映画にはしない」という姿勢も見てとれるわけですが、それは自衛隊出動の場面に関して、憲法九条をはじめとする「法体系の裏付け」なしには許可しない設定を逐一盛り込んだ点からも、窺い知ることができそうです。

 それから、縦糸といったらいいか、横糸といったらいいか、細かいところの人間の描き方がとても効いてます。おもなキャストの中で3作とも出演しているのは、ガメラと交信のできる草薙浅黄役の藤谷文子ちゃんを除くと、大迫刑事役の螢雪次朗さん1人。重要な1作目のオープニングに登場し、まるで土地の人間のように方言をあやつる螢雪次朗さんの、演技と思えない見事な演技。 金子修介版ガメラ を強く印象づけた、シリーズの始まりでした。2作目では刑事を辞めて札幌で働く警備員として、3作目では雑誌などを売ってその日暮らしをする浮浪者として、しかしいずれも怪獣たちに関わりのある生き証人として登場します。

 この3部作はガメラを善の化身、他の怪獣を悪の化身として描きながらも、実際はどうなの? と、考える余地を残しながら人間社会・現代社会に警鐘を鳴らす、傑作だと思います。(同時に労作でもあると思います)

 『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)  監督 金子修介
 『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)  監督 金子修介
 『ガメラ3 イリス 覚醒』(1999)  監督 金子修介



 追 記)

 ガメラの叫び声ですが、あれってサバンナでゾウの群れが移動するときなどにあげるカン高い鳴き声に似ていますよね。ほかにライオンの唸り声とかを取り入れて、ガメラの声を作っているんじゃないかと睨んでいるのですが、果たして真相はいかに。

 あと劇中、画面が美しいと感じるシーンがところどころあります。たとえば1作目の終盤、ガメラとギャオスが猛スピードで垂直に上昇し、大気圏を超え、太陽の円環の中で格闘し、もつれ合ったまま地上へ落下してゆく場面。3作目のイリスがクラゲのように透明な翅(はね)を広げて京都に舞い降りる場面。2作目の夜景ひろがる札幌上空にガメラが飛来する場面や、草体の大爆発を身を呈して食い止めたガメラが、破壊され消滅した仙台駅跡地で、火の粉が舞うなかじっと復活の時を待つ場面なんかも、たいへん印象的でした。

 その仙台へ向かう最終便の飛行機の搭乗前ロビィで、2人分のチケットを手にして戻ってきた水野美紀扮する穂波に向って、藤谷文子扮する浅黄がガメラの生存を伝えるシーン。

 浅黄 「ガメラは生きてます。必ず復活します。だって」
 穂波 「だって?」
 浅黄 「ガメラはレギオンを許さないから ……」

 それから3作目の前半、ふいに渋谷で始まった派手なガメラとギャオスのバトルが収束した直後、あらためて再会した中山忍扮する長峰真弓と、ホームレス生活を送っていた蛍雪次朗さん扮する大迫元刑事が、飲み屋で話をするシーン。横に座る聞き役の長峰真弓に、

 大迫 「ギャオスを忘れようと、……北海道へ行ったとですよ。酪農はキツか仕事やった。おいには勤まらんやった。そいでビール工場の警備員たい。そしたら今度はレギオンですよ。ひとりになるのが恐ろしゅうて東京にでてきたとです。人ん中に身を置きたい一心で …… 」

 地味な場面ですが、この回想はシリーズを通して物語りが一貫していることを暗に示していて、観ている者につかのまの休息を与える点においても、その効果をじんわりと発揮している印象的な1シーンでした。



 それと)

 初めて映画館で怪獣映画を観たのは「モスラ対ゴジラ」(1964)でしたが、ガメラ2に登場する草体と花のくすんだような朱色の模様を見たとき、直感的に、当時見たモスラの羽根の模様と似ているような気がしました。で、そのモスラをリアルタイムで観ているはずの金子監督の脳裏の奥深い記憶領域に、ひょっとしたら総天然色のモスラの残像が ……と、そんなことも思ってみたり。



  YAHOO動画(配信1月20日迄)
  金子修介 オフィシャルサイト

【More・・・】


【付 録】



ガメラ3 エンディングテーマ

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テーマ : 日本映画 - ジャンル : 映画

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